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「「いってきます」」 「いってらっしゃい」 出勤時間帯が重なる私と朝日さんは家を一緒に出ることが多い。 ケイに見送られ爽やかな気持ちで家を出れる。 梅雨の明けた空は攻撃的な夏の光線を私達に注ぐ。 「最近 ケイに詮索されるんだけど」 つり革に掴まり体重を預け朝日さんは私を見下ろしている。 「何をですか?」 「あやめちゃんの事好きになったかどうか」 「ははは………心配症だなぁ」 満員電車だけど朝日さんが程よく私を守ってくれているので最近は通勤も辛くない。 「男女間で絶対は無いですもんね」 それは以後の結果であって 未来の事は解らないから。 「あれ……まさかあやめちゃん」 「惚れてませんよ?」 わくわくした表情を覗かせたがすぱっと否定すると朝日さんはちぇーっと拗ねたように唇を尖らせた。 男女間で絶対は無い でもケイと私の間に絶対は有る。 ケイは絶対私に 恋愛感情を持たない。 諦めようと決めたのに 縮まるどころか膨らむ一方の私の気持ち。 押さえ込むから反発するのか 解っているのに期待しているからか 消化不良で胃がキリキリ痛む事もある。
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