14

5/12
前へ
/431ページ
次へ
朝日さんの手を払った彼女は私に向かってきた。 涙でくしゃくしゃになった切なそうな顔で 「何で! 何であなたなの」 どん と肩の辺りを突き飛ばされた。 「夏子さんっ」 朝日さんが慌てて止めに入る。 冷静さを欠いた彼女は 私に尚も向かってこようともがいている。 彼女の辛さも、哀しみも解ってしまうから黙っていようと思ったけど…………。 「どうか これ以上朝日さんを 苦しめないで下さい」 私は彼女の目を見ていった。 「止めてよ 何………それ」 後ろから押さえ付けられた彼女は暴れるのを止め、震えた声を出す。
/431ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2824人が本棚に入れています
本棚に追加