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「ケイ」 あやめをベッドに降ろしてリビングに戻ってきたケイを朝日は呼び止めた。 「ん?」 「さっきの どういう事?」 朝日は床に座りケイを見上げた。 「…………どうって? そのまんまだよ 出張中 よろしくね」 さっきの表情とは打って変わって優しい笑みを浮かべる。 「……………」 胡座に肘をかけ前屈みになる朝日はソファに座るケイをじっと見る。 「前だったら 『あやめに手出すな』的な事を言ってきても可笑しくないかなって思って」 「言わないと手出すわけ?」 ソファに足を乗せ膝に顔を付けてケイは朝日を見おろす。 「朝日が本気だったらいんじゃない? まぁ………許可出す事じゃないか」 テーブルに置いてある缶酎ハイに手を伸ばす。 「わぁ 珍しい 放任発言」 「なんだよそれ」 ふふっと笑ったケイは 親指に力を入れプルタブを開ける。 プシュゥと炭酸の抜ける音と蓋の空く音が静かな部屋に響く。 「ま………最近ケイの気持ち解る気がする」 「え?」 朝日の呟きにお酒を飲む手を止めた。 「愛くるしいペットみたいだよね」 あやめの部屋に目を向けた 朝日の的確な表現に ケイは「ふ」と吹き出した。
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