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南側のバルコニーに面した8畳程の空間は物がないから広く見える。
カーテンは前に住んでいた人のだろうか?
裾に花柄がある割りと可愛らしいもの。
色も悪くないからこのまま使わせて貰おうかな。
すっとカーテンを開き外を見ると
周りに高いマンションが無い様で陽当たりは良さそうだ。
カラカラと小さく乾いた音をたて窓を開けると柔らかく心地よい風が頬を撫でる。
天野さんの部屋の方を顔を出して覗いてみるとサンダルが一足並べて置いてあった。
一度深呼吸をして荷物を整理しようと
スーツケースの中の洋服をクローゼットに掛け、化粧品達を洗面所へ持って行く。
「もう終わりそう?」
リビングへ出ると天野さんが体を傾けて聞いてきた。
手元ではリズミカルな包丁の音が響く。
「今日は身軽だから」
肩を竦めて答えると
「お先お風呂どうぞ」
と促される。
「いや、いいよ
悪いし………」
「まだちょっと時間かかるし」
「じゃあ手伝うよ
洗面所にコレ置いてくるね」
抱えていた化粧品に目を落とすと
天野さんはにこっと笑ってくれた。
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