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「あやめちゃんてなんで俺には敬語なの?」 「えーっと 何ででしょ」 「ケイには敬語使ってないじゃん。 俺ケイとタメだよ?」 ぶっちゃけ 朝日さんは酔っ払うと面倒臭くなる。 「もう慣れちゃったんですもの」 ぷーっと頬を膨らませれば 朝日さんは私の頬っぺたを親指と中指で潰してくる。 「あ、やばやば」 私の頬から手を離して 慌てたようにケイを見る。 「ヤキモチ妬かれちゃう」 両手をテーブルの下に隠して朝日さんはおどけるように身体を揺する。 スプーンで皿を刺すようにカツカツと鳴らしているケイの目は冷たい。 「あやめは朝日に対して隙が有りすぎるよ」 「朝日さんが本気なわけないじゃん」 まるで父親と娘みたいな会話。 こんな感じで 最近は賑かというか 喧しい。 「今週末花火あるって」 「あ、それならバルコニーから見えるよ」 ケイは毎年バルコニーでビールを飲みながら見ているらしい。 「本当に?」 「じゃあ来週 高みの見物でもしますか」 「賛成」 学生の時のノリを思い出す。 二人といると 素の自分でいられる。
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