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「本庄さん 本庄?」 肩に触れられてはっとした。 「あ…………はい」 「大丈夫か?」 湯原さんがコピー機の前で固まっていた私に声をかけた。 「すいません…… どうぞ」 スキャンしに来た湯原さんは 私の顔を見ながら溜め息をついた。 「本庄………何かあった?」 「………いえ、大丈夫です」 そう言えば短く息を吐き 「バッサリだねいつも」 とぼそっと言った。 スキャンし終えた湯原さんは 「ちょっとおいで」 と私の返事も聞かないで歩き出した。 分煙室の横にある休憩スペースに並んでいた椅子に座ってと促して 「コーヒーと紅茶どっちがいい?」 と自動販売機の前で振り向かれた。 「あの」 「遠慮しない」 「………カフェオレお願いします」 そう言うと湯原さんは 口角を上げて頷いた。 同じボタンを押して スマートな動作で飲み物を取り出し 私の隣に座った湯原さんは 「ハイ」 と缶を差し出してくれた。
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