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「あやめの餃子やっぱり美味いね」 「ありがとう」 沢山作った餃子も殆ど無くなり、片付けを軽くしていたら花火が始まる丁度いい時間になった。 ケイの部屋を通りバルコニーへ出ると アウトドア用の椅子が並べてあり準備は万端だった。 ドンッ という音が空に響いて顔をあげると大きく弾けた花火が見えて数秒送れてバンッという音が聞こえてきた。 「わぁ綺麗」 「結構大きくみえるね」 遮る建物が無いせいか、思った以上に良く見える。 お酒を片手に花火を苦労しないで見るなんて凄く素敵な時間だった。 「あ………朝日が落ちた」 ケイの横に座る朝日さんを前のめりになって覗くと首をかくっともたげていた。 「ホントお酒弱いね」 朝日さんに向けた顔をゆっくり私に向けたケイは私を見つめてきた。 「………何?」 ドンッ ヒュー …… バンッ パラパラ 「出張決まったんだ」 ドンッドンッ 「え?」 バババンッ 「来月から1ヶ月」 「…………あ」 この間言ってたやつ 「帰ってきたら2ヶ月国内撮影に変わったんだ」 遠くで鳴っている花火の音がやけに近くに聞こえて胸を叩くような痛みを感じた。 「朝日と仲良くね」 笑いかけるケイの顔が一瞬にして歪んだ。
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