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カラッ 窓が開く音がした。 「ごめん 今から仕事で出てくる 撮影変更の打ち合わせ入っちゃって 戸締まりよろしくね」 多分ケイの顔は私に向いている。 「おーいってらっしゃい」 「あ、朝日起きたの? じゃあいってきます」 直ぐにケイの気配が消えて また二人の空間になった。 私は最後に咲き乱れる花火を 真っ直ぐ見た。 「本当は 摘み取らなくちゃいけないって 分かってます……… でも 私の中に咲いてしまった この花が萎むまで 咲かせてあげたいと思う」 席を一つ挟んで 前を向いたまま思いの丈を 吐き出した。 「朝日さんならわかるでしょ?」 同意を得たい訳じゃないけど 朝日さんの目を見た。
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