16

3/10
前へ
/431ページ
次へ
朝日は相変わらず俯いて少し険しい顔をしていた。 「…………何が?」 意図してる意味がわからなくて聞き返した。 「今まで 好きにさせないように やってこれてたのに あやめちゃんには 何か期待でもさせた?」 朝日は心に針を刺す様な言葉を選んでくる。 低い声や険しい顔の理由が判り妙に腑に落ちた。 「他の女の子とあやめは違うんだ 大切な友達で 幸せになってもらいたい」 朝日に誤魔化しは効かない。 「でも状況は? いくら言い聞かせてたって 好きになるのに理屈は通らない だから浮気や不倫や略奪が あったりするだろ 理屈を通せるなら とっくにケイが女を好きになってるよ」 朝日は手元のグラスを見ながら言葉を押し出した。 苦しそうなその気持ちが 痛く響く。 「諦めさせてやれよ それが大切なあやめの為だ」 「あやめは………… 諦めてるよ 最初から」
/431ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2825人が本棚に入れています
本棚に追加