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「でも 泣いてるじゃん 隠れて」 何を言われたのか一瞬理解に苦しんだ。 「……………朝日? あやめに何か言ったの?」 嫌な空気が胸を巣食う。 「……………何かって 例えば?」 「……………泣かせるような事」 強い口調で朝日を見るが 朝日は目を合わせるのを避けるようにグラスを見つめたまま 丸い氷を指でつついた。 「泣かせたのは俺じゃなくて お前だろ?」 カランと氷がグラスに触れる綺麗な音が響く。 ケイは射抜かれるような朝日の視線を受け何も言えなくなってしまった。 「好きになりたいよ」 呟いたケイの声が辛そうで 黙って耳を傾ける。 「そんなことが出来たらこんなに悩んで無い 出来てたら とっくにあやめを受け入れてるよ」 肘を着き組み合わせた手に額を付ける。 「女の子の友達が居なかった訳じゃない 自分を自分と認めて友達で居てくれる子がいるけど あやめにはそういう以上の何かを感じてる 自分でもまさかとは思ったよ あやめなら好きになれるんじゃないかって」
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