17

3/14
前へ
/431ページ
次へ
大丈夫になんなくちゃ ケイが戻ってきた時 以前みたいに 心地好いと思って貰える様に。 「よしっ」 ぱんっと両手で頬を叩いて 仕事へと向かった。 「今日台風直撃みたいですねー」 ユリがネットで気象図を見ながら 窓の外を伺う。 「やですよー 去年みたいに 地下鉄止まってから帰っていいぞってなるのは」 唇を尖らせて文句を言うユリに 「取り敢えず早く仕事終わらせようか いつ帰っても良いように」 と私は宥めた。 外を見下ろすと木々が煽られ 風の強さが見て取れる。 「本格的にヤバイな」 部長陣もざわつき始め 午後5時に退勤指示が出た。 「もう既に激しくなってるって」 会社から駅までの道に 無惨にも骨だけになった傘が いくつも捨てられていた。 遅延が出つつも動いていた電車は何時もより帰る時間がかかってしまった。 水や食料を確保して家へと帰る。 「っわぁ びっしょり」 私の服から滴る水で玄関が濡れる。 身体をタオルで拭いて お風呂に入った。
/431ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2825人が本棚に入れています
本棚に追加