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その時 プッとテレビが消えて 部屋が真っ暗になった。 「停電?」 「そうみたいだね………」 朝日さんは携帯のカメラ用の光で足元を照らしながらケイの部屋に入って行った。 「やっぱり ここら辺一帯点いてない」 バルコニーから確認して戻ってきた朝日さんは溜め息を吐いた。 「10分位で直るでしょ?」 朝日さんの声からは 動揺が全く感じられなくて 落ち着いた行動に見とれていた。 「大丈夫?」 光を向けられ眩しくて目を瞑った。 「あ………はい」 薄目を開けたときには 光の残像がチカチカと 目の前に浮かんでいたけど 朝日さんの携帯の光は見えなかった。 座っているソファに振動が伝わり 左側が沈むのが分かった。 「朝日さん?」 目が慣れず、薄明かりも入って来ないリビングでは朝日さんのシルエットが何となく分かるくらい暗い。 「隣に居てもいい?」 低く響く声が近くで聞こえる。
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