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「…………あ
はい」
左肩に気配を感じた。
「俺の前で無理する必要ないよ」
「………え」
朝日さんの声がする方に顔を向けた。
「毎朝目の周り真っ赤にしてパンダみたい」
朝日さんの指が
私の下瞼をすっと撫でる。
「見えない所で泣かれると
男としては
辛いんだな」
頭の後ろに大きな掌が回り
少しだけ入れられた力に
丸めていた体がコロンと傾いた。
「…………!!」
朝日さんの胸元で受け止められて
長い腕で軽く囲われているのが分かる。
身体に僅かに振れる腕の体温が
妙にはっきり感じられる。
体が硬直して動けない。
「朝日……さん?」
どくどくと刻む鼓動の波は
私の物ではない。
朝日さんから聞こえてくる鼓動が
私の脈拍も上げていく。
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