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穏やかで甘い声が 私の耳元で響いた。 ぞくっと背筋が震え 頬が熱くなる。 私を撫でる大きな手 次第に熱くなる体温 耳に響く鼓動の音 心地好い朝日さんの魔法に 落ちていきそうだ。 「ケイにしてたみたいに 俺に甘えてよ」 「…………」 「俺じゃ無理か」 「違っ…………」 「じゃぁいいじゃん」 事も無げに言う朝日さんは撫でていた手を頬に移した。 「でも、そんなの ……朝日さんを利用してるみたいで ………申し訳無いから」 そう言えば鼻で笑うから 私の前髪が少しだけ揺れた。 「利用してるのは 俺の方だよ あやめちゃんが弱ってるとこに 漬け込むんだから」 さっきの甘い声色とは打って変わって、低く暗い声で言った。 「…………」 何だか朝日さんが辛そうな顔をしてそうだったから緊張で固まっていた手を朝日さんに伸ばした。 「………ん?」 鼻と目の辺りに触れたみたいで朝日さんが声を漏らす。 私は身体を起こして朝日さんの頬に触れた。 「あやめちゃん?」 「いいんですか?」
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