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「ほら 逃げない」 腰の後ろに有った手で簡単に引き寄せられて 呆気なくまた胸元に収まる さっきより腕に力が込められているから 密着度も近い。 「…………あさっ」 「聞いて」 抵抗しようとして直ぐに言葉を遮られた。 朝日さんの表情は見えないけど 真剣な声と伝わる心音に私は黙った。 「二週間後 ケイが帰ってきて 気持ちが前みたいに引き戻されたら 恋人ごっこはそこで終了」 「………… もし 平気だったら?」 「あやめちゃんに好きな人が出来るまで 恋人ごっこ続けよ?」 「……………そんな」 「あやめちゃんだけが 良い思いするわけじゃないよ? これは俺の為でもあるんだから」 そんな風に言われたら 駄目だなんて言えない。 私のメリット以外に 朝日さんのメリットが有るのか分からない。 でも 私はもう 随分朝日さんに心を 許していたのかもしれない。 「お願いします」 そう言えば 「いい子だ」 と、優しく撫でてくれた。
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