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「で? 今度はそいつに惚れるのかい?」 あの日以来顔をだしていなかったお店に仕事帰りに立ち寄った。 「……………」 ママは横目で私を見た。 「あの……そういうんじゃ」 「無いって言い切れる? 良い男に甘やかされて 気分悪い女なんている?」 ママはカウンターから身を乗り出し、私を上から見下ろす。 「…………」 何も言えない。 「断言してあげる」 ママは目だけ笑っていない笑顔で言った。 ママに見つめられたら 体が固まったように動かない。 「その恋人ごっことやら お嬢ちゃんの方から辞めたいと言い出すよ」 「…………え」 ごくりと喉がなる。 「お嬢ちゃんが 本気になるから 本気になって 辛くなるから」 ママの大予言は 私の心を操る 催眠術みたいだった。
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