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「この電車?」
「ん……次かな」
私と朝日さんは改札の前に立っていた。
黒い群衆が固まりになって改札を流れながら出ていく。
私達は顔を見合わせ肩を下げた。
「あ」
朝日さんが声を上げるから私も振り向いた。
大きなスーツケースを両手で押しながら歩いてくるケイがいた。
「ケイ」
大きく手を振ると、軽く手を上げてくれた。
「わざわざお出迎え?」
久々のケイの笑顔に癒される。
「おかえりなさい」
「おかえり」
「ただいま」
3人で並んでマンションに帰るなんて物凄く久し振りで、ケイの尽きない話をリビングで聞きながら飲んでいた。
流石にお互い仕事もあるので2時に御開きになった。
「おやすみ」
一足先に部屋に入るケイ。
私は部屋の扉を前にして一度深呼吸して振り向いた。
朝日さんがリビングの扉に凭れて私を見ていた。
「…………」
「おやすみ
また明日」
朝日さんは笑みを見せてリビングから出ていった。
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