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「ん」
朝日さんは短く頷く。
「でも、恋じゃない」
数秒の沈黙が酷く重く身体を引っ張る。
「好きな人が出来るまで続けよ?っていってくれてありがとう
それで充分です 」
「…………」
テーブルの上に置かれていた指先がピクリと動いた。
「朝日さんが私を受け止めてくれたから、ケイの事は引きずらずに済んだんじゃ無いかとは思ってます」
「…………そ」
目を細めてにこやかに私を見る。
「朝日さんなら
きっと気にしないで
遠慮しないでって
言うことは分かってるんです」
「………そだね」
「でもやっぱり
これ以上朝日さんを拘束したくないです」
「もしかして、あやめちゃんに好きな人が出来るまでって条件気にしてる?」
「…………あ、はい」
両手を握りしめこくこくと頷いた私を「くはっ」と声をあげて笑った。
「真面目っ
真面目過ぎる」
朝日さんは口元に軽く握った拳を当てて笑った。
「大丈夫、俺ごっこしていても誰か好きになれるし
だから気にしないで」
「あ……器用ですね」
「ぶはっ」
「でもでも
彼女が出来たらちゃんと言って下さいね?
ごっことはいえ相手の方に申し訳ないので」
「うわ律儀っ
ていうかあやめちゃん
何時まで人を好きにならないつもりなの?」
首を傾げて問う彼に
「…………あ……そっか」
「ははっ、大丈夫そう長い時間じゃないし
ね?」
「…………あ、はい」
「決定」
丸め込まれた…………気がしないでもない。
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