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「朝日さんは?」 「ん?」 ソファの定位置に座って寛ぎながら、疑問に思ってたことがさらりと口から出た。 「気になる人とか居ないんですか? どんなに美人のお誘いも断ってるそうじゃないですか」 「…………誰から聞いたの?」 低い声と共に朝日さんの眉がぴくっと上がる。 え…………これってNG? 「あ、いえ…………ケイだったかな」 目を反らして上を見ると朝日さんが身体を前に倒してきた。 「ケイは俺が誰にでも手を出すと思っているよ?」 黒い瞳に睨まれたら、私ごときが説き伏せられるわけがない。 「すいません 友達が、朝日さんと同じ会社で…………そう伺ったもので」 正直にそう伝えると ふぅんと鼻から声を出し身体を後ろへ戻した。 「朝日さん 会社で評判良いみたいですよ? 選り取り緑じゃないですか」 「ヤダよ社内なんて………… 面倒だもん色々」 と、本当に面倒くさそうに言ってソファに寝そべる。 モテるが故の文句だ………… モテない人が聞いたら憤慨しますよ。 「あやめ」 とんとんとソファを叩いて犬を呼び寄せる様に私を呼ぶ。 膝枕を要求されましたよ。 「…………」 私が固まっていると人差し指でちょいちょいと招く様子に葛藤して腰を上げた時 「ただいまー」 リビングの扉が開いて、私は浮かせた腰をストンと落とした。 「ざんねん」 朝日さんはにやっと笑みを見せながらそう言ってケイはきょとんとしながら私と朝日さんを見ていた。
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