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「…………何でそう思うの?」 「んー………… 言葉にするのは難しいけど 話しててそう思った」 「ケイは 私が好きな人出来てたらどう思う? もう新しい人って思う?」 にじり寄りケイの腕を掴む。 必死になっている私の頭に手を置いて微笑みながらケイが口を開いた。 「あやめに好きな人が出来たら嬉しいよ?」 「…………ケイ」 やっぱりケイは私の心を救い上げてくれる。 その極上な笑顔を見るだけでどれだけ癒されているか。 「やっぱりケイ好き」 「ありがとう、俺も」 首を傾げながら可愛く言うケイに温かく包まれ重く潰れていた心がふっと軽くなった。 その時急に頭の中に響く声が聞こえた。 この間目が覚めた時に見ていた夢。 あれは以前ママに予言された言葉だった。 『その恋人ごっことやら お嬢ちゃんの方から辞めたいと言い出すよ』 『お嬢ちゃんが 本気になるから 本気になって 辛くなるから』 ……………もし朝日さんを好きになったら結局言わなくちゃいけないんだ。 恋人ごっこは終りにしましょうって。 私は随分前から 逃げようの無い蟻地獄に 足を踏み入れていたのかもしれない。
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