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「ただいま」
「……お、かえりなさい」
洗面所へ向かう所で帰ってきた朝日さんと鉢合わせした。
昼間の光景がフラッシュバックして一瞬足が止まり顔が固まってしまう。
「……何?」
朝日さんが私の行動に気付き眉間に軽くしわを寄せた。
「…………いえ」
目を伏せて洗面所に逃げ込むように入った。
歯ブラシに歯みがき粉を付けて口に入れ鏡に目を向けると、朝日さんが入口の枠に肘をかけて私をじとりと見ていた。
「…………何でしょう」
「いや…………
何か嫌な感じだなと思って」
朝日さんは私を上から見下ろし圧力のある声を出してきた。
「どんな所がですか?」
「…………ふぅん」
誤魔化すつもり?とでも言うように逆側に首を傾けた。
「目合わせないし、拒否オーラ出てる」
「…………出してません」
じりじりと洗面所の奥へと移動し、朝日さんとの距離を保とうとしていた。
「あやめちゃん
俺そういうの嫌い」
「…………」
「心を閉じてる時は
はっきり言ってくれないと
分からない」
「別に言いたいことなんて」
手に入れる力を強め歯を磨く速度を早めた。
今話したくない。
朝日さん怖いもん。
じっと見られてることはわかるけど歯を磨き終え口を濯いでここから早く逃げ出したかった。
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