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「どこか行く途中でした？
私は大丈夫なのでどうぞ」
エレベーターに行きやすい様に身体を壁側に避けたが
「俺の用事なら戻って来た」
と彼が頭をポンと撫でて玄関を開けた。
「え？」
戸惑っていると背中を押され玄関に入れられる。
もしかして、様子を見に来てくれたのかな。
「あの……
心配をかけちゃいました？」
朝日さんを伺うと頭をわしゃわしゃっと撫でられた。
「わっ
何するんですか」
手を払って髪を整えながら抗議するように睨んだ。
「いや、取り敢えず上がって？
俺が入れない」
「あ、すいません」
慌てて靴を脱ぐと朝日さんはそのまま廊下を進んで
「じゃ
おやすみ」
と、部屋の扉を開けながら私を見た。
「あ、おやすみなさい」
少しだけ、彼が私と距離を取ったのを感じて寂しく思った。
本当は私から手放したんだからそんな事思っちゃいけないのに。
閉まった朝日さんの部屋の扉を見つめて溜め息を一つ吐きだした。
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