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「……………」 朝日さんが黙っているので私はぺこりと頭を下げた。 「兄貴の彼女?」 「違います違います! ルームメートの本庄です」 私は手を忙しく動かし全力で否定した。 「あぁ ケイくんの所で? へぇ」 「あ、すいません 私お邪魔ですね お先失礼します」 私は空気の重さに耐えきれず後退りしながら挨拶をした。 「あ、待って」 パシッと腕を取られて引き留められる。 「一緒にどう?本庄さんも」 にっこり微笑む顔は 朝日さんに似ていて 朝日さんより可愛らしかった。 「ね、いいでしょ?」 振り向き朝日さんに確認する弟君に朝日さんは頷いていたけど その笑顔の固さが気になっていたので私は丁重にお断りをした。 「またね本庄さん」 屈託無く笑う弟君は手を振って見送ってくれた。
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