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「え?
遵に会ったの?」
「うん、今日会社の近くで」
「どんな感じだった?」
「えー凄く朝日さんの事慕ってそうだったよ?
確かに可愛い顔してた」
家に帰り一部始終を話すと、ケイはどこか深刻そうに聞いていて、考え込む素振りを見せたのが気になった。
「弟君…………何かあるの?」
「あ…………いや」
「もしかして朝日さんの彼女にちょっかい出した?」
「え!?」
ケイはそう言ってから
しまった、と口を押さえた。
ふふ、朝日さん直伝誘導尋問成功。
「本当はこういう話朝日からしてもらわないといけないと思うんだ」
ケイは反省からか眉を下げ綺麗な薄茶色の瞳を潤ませながら見てきた。
「まぁ大体わかるよ
この間の話聞いて
今日二人を見ていたら何と無く思った」
二人の間に流れるぎこちない雰囲気は根底にそういう事があるからだ。
「近々家にも来そうだな」
ぼそっと呟き遠くを見るケイ。
私はその時はケイが何をそんなに考え込む必要が有るのか理解できなくて、それほど深刻だとは思ってなかった。
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