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会社に戻るとユリが素早く事情聴取に来たけど私は取り合わずに席に戻った。 断るにも連絡出来ないしな………… 小さく溜め息をつく。 何か分かる気がする ケイが言ってた自分が可愛い事分かってるってやつ。 笑顔とか言葉とか表情の作り方や使い方が上手くて結局私にOKを出させた。 「…………敵は手強いなり」 溜め息が出てしまった。 「お疲れさまです」 私を見つけて手を振る彼は 「来てくれてありがとう」 と笑顔で迎えてくれた。 わぁ。キュンとくるわ。 「あ、私一時間位しか話聞けないんだけどいい?」 「…………あ、はい 忙しいのにすいません」 一瞬無表情になってからにこっと笑ってカフェへと入っていく。 「…………で? 何に悩んでいるの?」 「…………」 席へ着くなり話を促す私を薄く口を開けて見ている。 「…………本庄さんは 合理的な方ですね」 肩を竦めながら笑う弟君は カップのコーヒーを啜った。 「すいません、雰囲気とか無視で」 私は繕うように笑った。 「本庄さんからみて家の兄ってどんな感じですか?」 「え? んー マイペースで自由な感じ」 「ははっ 相変わらず」 「でもやっぱりお兄さんだからか面倒見いいなって思うよ? 優しいし」 「…………へぇ 何か羨ましいな」 彼は目を伏せて顔を傾けた。
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