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私は彼の黒い瞳を見つめた。 「本当は朝日さんの事 あんまり好きじゃないでしょ?」 核心を突く言葉を選んだ。 「…………え?」 「でも近付きたいと思ってる」 「…………」 「素直になるには難しいよね」 驚いた顔のまま否定しないから私は話を続けた。 「私も弟いるけどやっぱり疎遠な時期あったよ お互い社会人になって 仕事の愚痴言うようになってからはわりと仲良くなったの」 「そう……なんだ」 弟君はちょっと微笑んで こめかみの辺りを掻いた。 「本庄さんて 年下にモテそう」 「え?そんな事ないよ」 「だって 甘えたくなるよ?」 上目遣いで言うから心臓がリズムを早めた。 くぅ………可愛い。 術中に嵌まってしまいそうだ。 暫く色々な話をしてあっという間に時間が経ってしまった。 「また、話を聞いて貰ってもいい?」 と可愛く言われたから 「うん 時間があればね」 と笑って返した。 連絡先を渡されて、私はそれを受け取り手を振った。
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