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「あ、あやめ 髪一度濡らさないと寝癖直んないよ?」 ケイが自分の頭を指した。 「え、うそ」 慌てて洗面所へ駆け込む。 「やだぁ」 鏡で見たら右半分が爆発していた。 手に水を付けて寝癖を濡らす。 「そんなんじゃ直らないよ」 鏡に映る私の後ろに立ったケイは棚から霧吹きを取り出した。 シュッシュッと全体を濡らし出す。 「え… いいよ、ケイ」 「遠慮しないで、すぐ終わる」 ドライヤーを揺らしながらブラシを器用に回してふんわりとしたセットをあっという間にしてくれる。 「ありがとう」 美容室帰りみたい。 「ほら ぽけっとしてないで 遅刻するよ」 「あ、はい」 化粧を終わらせリビングに戻ると私の分を用意してケイがスープを飲んでいた。 「お先頂いてます 美味しいねコレ」 「疲れてるならいいのに……… ありがとう」 私は簡単に朝食を済ませて鞄を肩にかけ玄関に向かった。 「じゃ、行ってきます」 「はい、行ってらっしゃい」 玄関まで来て壁に肘を付けて緩く手を振ってケイが見送ってくれた。
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