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彼は余り弱い部分を見せないし、愚痴も溢さない。
「あやめ?」
ケイがどうしたの?と
問いかけるが
私はふるふると首を振った。
「ごめん。食べようか」
私の小さな不安は
柔らかくジューシーな角煮の美味しさにより一瞬で隅に追いやられた。
「これ凄く美味しい」
「良かった」
私に微笑むケイを見るだけで心に溜まったガスみたいなものが浄化されていく。
破裂しそうなやるせなさは
ルームシェアを始めてから
感じていない。
突然破裂して
泣くことも無くなった。
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