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艶々になった爪の先で小さな石がキラリと光る。
こういうのを見ると気分が上がる私はまだ女の子なのかもしれない。
お気に入りのケーキが食べられるカフェでソファに深く体を沈めた。
「あやめはさ、心配し過ぎなのよ
天野さんだってあやめで良かったって言ってくれてるんだから
今からそんな心配してても仕方無いよ
例えば
天野さんが今みたいに拠点を海外に移してしまったら?」
「……え?」
思っても見ない言葉に私は一瞬にして醒めた。
ケイが出てったらって事?
「そんな顔しないでよ
例えばなんだから」
花が私の腕を揺さぶる。
「…………あ、うん」
震える手で紅茶に手を伸ばす。
何で私こんなにも動揺しているんだろう。
ケイと当たり前に過ごしていることが嘘のように無くなってしまったらって考えてしまったからだろうか。
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