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しゃがみこみ顔の高さを合わせて頬に手を伸ばす。
10日ぶりのあやめは無防備な寝顔を晒して暢気に寝息を立てていた。
「あやめ」
名前を呼ぶとゆっくり目を開け女性の肩に凭れていた頭を起こした。
とろんと半分開かれた茶色の目に小さく自分が映って見えた。
「ほら…………帰るよ」
立ち上がらせようと体を起こし二の腕辺りを引っ張ろうとした瞬間
「あ…………ケイだぁ」
とんっとお腹に受けた衝撃と温かさに体が動かなくなる。
ちょっと!
人が見てますけど!
人前だという意識が全く無いのか、完全に寝ぼけているな………。
焦って額に汗が滲む。
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