青天の霹靂

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むかーしむかしじゃないですが、あるところに、とっても仲の良い兄弟がいました。 母親を早くに亡くし、父親は単身赴任中のため、兄弟2人でアパートに住んでいました。 兄は5つ下の弟を大層可愛がり、弟もそんな兄を慕い、楽しく暮らしていたのです。 そんな日々に変化が起きたのが、兄19歳、弟14歳の時。 弟のある一言からでした。 「オレ、男が好きやねん」 「!!?」 突然の弟の告白に、兄の身体に衝撃が走った。 「い…今…何て…?」 震える声で尋ねる兄に、 「だから、男が好きやねんて。何回も言わせんなや」 弟はしれっと言いのける。 「…!!」 兄はショックを隠せない。 「男が好きて…お前、ゲイなんか?いつからや!?」 「んー、気ぃついたんは最近やで」 「ま、まさかお前…もう付き合ってるやつがおるんか?」 「……」 「何で黙るねん!肯定と一緒やんかぁ!」 「そない怒るなや。別にええやろ」 「ええとか悪いとかちゃうわ!お前はまだ中学生やろ!」 「中学生やから何やねん。ちょお落ち着けって」 「これが落ち着いていられるか!」 興奮気味の兄に、弟は表情を変えた。 「…やっぱり気持ち悪いか?」 「え?」 「弟がゲイやったら嫌か?世間体だって悪いもんな」 しょげたように言う弟を見て、兄は少し慌てた。 「え…いや、ちゃうよ。気持ち悪いわけないやろ!」 兄は俯く弟に必死で否定を繰り返す。 そんな兄を窺いながら、弟は顔を上げた。 「良かった!分かってくれると思ってたで」 にっこり笑う弟。 「お、おう」 この弟の告白に、兄は翻弄されることになる。  
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