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初めに言っておこう。僕は偽善者だ。そして嘘つきである。
皆さんが想像する主人公とはかけ離れているのかもしれない。
そんな卑屈の考えを持った僕に賛同してくれる人達も偽善者なのかもしれない。
こんな事を考えながら、僕は息のしづらくて、まさに人間サウナの中で、朝のゆったりとコーヒーを飲んでのんびり出来たら至福なんだろうな、という貴重な時間を苦痛に過ごしながら仕事に向かう。
そんな苦痛の時間を僕は忘れるために魔法をかける。
ポケットからコードを取り出し、コードの先の突起物を耳にかける。
すると、たちまち僕は魔法にかかる。
ギターの音色が聞こえる。次に、ベースやドラムのリズムが刻まれると、甘く切ない歌声が上から覆い被さる。
苦痛の30分を和らげてくれる魔法。
音楽が無ければこの苦痛に負けて僕は家の中に篭りっきりになるんだろうな。
尚且つ、この無意義な時間を有意義に変えてしまうのだ。
ウォークマンという素晴らしい発明に感謝しながら、30分間が過ぎ去るのを、一反木綿になってしまうのではないかと思いながら僕は待つ。
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