記憶の中の彼等は

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記憶の中の彼等は、笑ってる。 皆、楽しそうに。 嬉しそうに。 幸せそうに。 心から、笑ってる。 辛いこともあったのに。 苦しいこともあったのに。 …否、そちらの方が 多かったのではないだろうか。 なのに彼等は笑ってる。 俺にはわからない。 普段からあまり笑わない俺には、 彼等の笑顔の理由が。 「何故、笑ってる…?」 記憶の中の彼等に問いかける。 そしたら彼等は、やはり笑いながら こう言った。 「仲間が居るから」 「新選組の皆が居るだけで、幸せ。だから笑うんだ」 ―――嗚呼、そうか。 辛いことや苦しいことも忘れてしまう程。 素晴らしい仲間が傍に居るから……。 大切な、仲間が居るから……。 「一くんも、此方においで。笑おう」 「ああ…」 だから、記憶の中の彼等は笑ってる。 そして、 俺も―――……。  
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