それは突然的に……

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うん。正体を知ってるからこそ分かる可愛さだよね。 「んじゃま、悠灯に朝霧君。学園の説明をするからソファーに座ってくれない?」 理事長さんはそう言い、悠灯をやっと解放したのかシンプルなソファーへ僕と悠灯に座るよう促した。 理事長さんが座り、続いて僕と悠灯も向かいのソファーに座ろうとすると、悠灯は理事長さんに引っ張られて僕の左斜め前に座る事に。 ……溺愛心半端ないね。 「ちょ、叔父さん! 普通俺そっちだろ! 離せよ!」 「ダメ。悠灯は僕の隣。別に此方でもいいよね? 朝霧君?」 ちょっ、ここで僕に振るなし。 「理事長さんが構わないなら良いんじゃないですか?」 「ほら! 大人しく此所に座ろうね、悠灯♪」 僕が棒読みで答えると、理事長さんは滅茶苦茶嬉しそうな顔で悠灯を隣に座らせた。 しかし悠灯は僕の言葉を聞いた途端、何故か少しションボリした様子だった気がしたけど……心を込めてなかったからかな? 「じゃ、先ずは君達の環境の説明だね。二人は同じ一年S組。制服は既に寮の部屋へ送ってあるから、部屋番号は寮長に聞いて。それと……はい、君達のカードキーだ」 理事長さんはポケットから赤い下地に白と黒の一本線が交差してるカードと、真っ黒なカードの二枚を取り出した。 「ハイ。朝霧君のは此方で、悠灯のは此方ね。これからの学園生活に必要不可欠な物だから失っちゃ駄目だよ」 「ありがとうございます」 「………………」 悠灯。いくら叔父で溺愛されてるからって、お礼は言おうよ。例えウザくて機嫌が悪くってもさ。 僕は半ば悠灯に呆れながら悠灯の方を見た。彼はというと、 「ふすー……」 「既に夢の中! ちょ、悠灯! 此処理事長室だよ! 起きて!」 僕は立ち上がり、理事長さんに凭れ掛かって眠る悠灯の肩を揺さぶるが、熟睡しているようだ。起きる気配がない。 「構わないよ、朝霧君。悠灯は最近日本に帰国したばかりでね。オマケに色々あったから疲れてるんだろう。それに何故かこの部屋に来ると毎回寝るしね」 「……クソ甘理事長め」 「ん? 何か言ったかい? 朝霧君」 「いえ、何も」 まったく……悠灯も悠灯だけど、理事長さんも理事長さんだ。僕が厳しいだけかもしれないけど、僕達の為に説明してくれてるのに、寝るなんて……。 僕は悠灯を起こす事を諦め、座っていたソファに腰を落とす。 すると徐に理事長さんが口を開き、何かを僕に語り出した。
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