それは突然的に……

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「悠灯はね、今までにいろんな事が有り過ぎていつ壊れちゃってもおかしくなかったんだ。自分からは他人に近付かないし、決して弱味を見せない。叔父の僕でさえ、最初は殺されそうになったんだー」 おいおい。そこ笑顔で語る場面じゃないですよ? 理事長さん。 僕は笑顔で悠灯に毛布を掛ける理事長さんに心の中でツッコむ。甥っ子溺愛にも程があるぞ、これ。 「それは……何というか、ですね」 僕は適当な相槌を打つ。 「アハハッ。あの時は相当嫌われてるんだなって思ったけど、一緒に暮らしていくうちに、この子は本気で僕を殺そうとしたんじゃないって分かってきたんだ」 そう言って、理事長さんは隣で毛布にくるまっている悠灯の頭を撫でる。 「わざと僕を悠灯から遠ざけて、僕を守ろうとしてくれたっていうか、自分と関わる人間は不幸になってしまうという思考が抜けなくてね。本当は悠灯が悪いわけじゃないのに………」 理事長さんは悲しいそうな表情を浮かべると、悠灯の頭を撫でている手でモサモサフサフサな黒髪鬘を手櫛で梳く。 悠灯はそれが心地良いのか、その手に寄り添う様に頭を動かすと、理事長さんは悠灯の身体を動かして、頭を自分の膝に乗せるように置いた。 所謂、膝枕ってやつだ。 やはり悠灯は幼い頃に何らかの事件にでも巻き込まれた、若しくは関わっていたんだろう。 そうじゃなきゃ、そんな悲しい事思うような子じゃないと思うし。 僕は先程貰ったカードキーをポケットに突っ込むように入れると、理事長さんが悠灯を寝かせたままにして、学園の事を説明してくれた。 悠灯には……仕方ない。後で僕が説明するとしよう……。 この学園は完全なる全寮制の男子校で、初等部から大学まであるらしい。 全寮制になるのは中学からで、大学からは希望者のみが寮に残る事が出来る。 此処――高等部の校舎は中等部のそれと隣接し、たまに中等部の方へも行く事があるそうだ。 高等部校舎の構造は一階が食堂と多目的会場。二階が職員室。三階から五階が各学年の教室と特別教室で。六階に生徒会室と風紀委員室。この階は特別なカードキーか、呼び出されない限り入れないらしい。そして屋上にミニ菜園。 部室棟と寮、体育館、図書館は別々にあるらしい。しかし校舎の中にも図書室はあるそうだ。どうしてだろうね?
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