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うわあああ……言っちゃったよこの子。僕、フォロー出来ないくらいグサッと言っちゃったよもう…………。
あ、そういえば副会長×王道転校生のキスシーン、写真と録画でおさえて来いって百姉言ってたっけ?
僕はポケットからスマートフォ○(百姉プレゼンツ)を取り出し、録画の準備をする。
さっきの悠灯の辛辣&キツイ言葉を聞いた副会長さんは、未だに呆然と立っていて、悠灯はそんな副会長さんを不思議そうに見つめている。
すると副会長さんはやっと意識が無事帰還された様で、優しい様な、妖しい様な笑みを浮かべた。
「私の笑顔を初対面で見破った方は、貴方が初めてですよ。興味が湧きますねぇ……」
「は? 何言っ……んっ!?」
わあ……この副会長さん、本当にやっちゃったよ……もう嫌だ僕この学園怖いよ……。
カメラを向けている先には、さっき会ったばかりの副会長さんが悠灯に深い方のキスをしている光景がくっきりと映っている。
悠灯は顎を掴まれ、驚愕している表情を隠せない様子だ。
「ん……! っなせっ!」
数秒間ずっとキスされていた悠灯は数秒間ずっと暴れていたのが当たったのか、副会長さんの鳩尾には悠灯の握り拳が。
一方、鳩尾を殴られた副会長さんはさっきまで閉じていた両眼が思いきり見開かれていて、かなり痛そうだ。
族……って云うのの総長てのは当たってそうだな……悠灯は怒らせないようにしなきゃ…………。
二人の唇が離れると、副会長さんはその場にバタリと頭から倒れて、そのまま気絶してしまった。
「っ! 紡義! 行くぞっ!」
「ちょっ悠灯……痛っ」
僕は悠灯が気付く前にスマートフォ○をポケットに終うと左手首を悠灯に掴まれ、校舎のある方へ引っ張られて行った。
「悠灯! どこ行くの……!」
「理事長室! 一先ず其処に来いって言われてるから!」
「場所は?」
「第六感で進むだけだ!」
「ちょっ、それ物凄く不安なんですけどっ! 悠灯さん!? 聞いてる!?」
勘で理事長室へ向かう悠灯を、僕は左手首を掴まれた状態のまま引っ張られ、後ろから観察する。
モジャモジャの黒髪からちらちらと見える金髪は黒髪が鬘である事実を物語っていて、近いうちに正体がバレそうだなと悟る僕。
しかし敢えて今は指摘せずに見て見ぬふりをした僕は、悠灯の友達として少々不誠実? なのだろうか。
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