裏町の顔

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「え!?終わり!?マジでか!!お、俺の金貨が……」 カウンターから振り向き、優勝者であるナックルに手渡された賞金を見て嘆くハル。 がっくりと肩を落とす様子にバースコートが話し掛ける。 「まぁまぁ、そう気を落とすな。だいたいさっき銀貨一枚分は食ってんだから諦めろ。 それより、金が要るんだったらウチのギルドで働かないか?」 「むぅ、終わってしまったもんな…… そういやバースコートってギルドマスターだったんだな。俺の実力も知らないで働かせていいの?」 ハルの質問ももっともであるが、バースコートはそのマスターとしての勘からか、ハルには恐らく実力があると踏んでいた。 先の短い会話からではハルにはまだそんことは予想出来ない。 そこへ、ミワが接客の合間を縫って戻って来た。 「ハルさんをウチのギルドに入れるんですか!?マスター」 優勝者が決まり凄まじい喧騒の中どうやって聞き分けたかのか、ミワは話を聞いていたようだ。 「ん。通例なら簡単な依頼を一つこなすか、名のある人間なら面接のみだがハルはちょっと面白そうな気がしてな…… どうだ、ウチに入って働いてみないか?」 バースコートはハルの味覚を買っていた。 このダグラスの街でやっていくには強さもさることながら、特殊技能も必要である。 依頼の中には珍味の収集で遠い国まで行かなくてはならない。 料理人や農人を連れていけば話は早いが、危険な場所には連れていけない。 今、バースコートのギルドにはその手の味が分かり腕の立つメンバーが不足していた。 .
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