19671人が本棚に入れています
本棚に追加
ミワはどうやらバースコートがハルを気に入り仲間に取り込みたいことを察知して、ハルに近付いた。
「ねぇ、ハルさん?一緒に働きませんか?」
ツインテールの黒髪、大きな瞳に長い睫毛、メイド姿の小柄な体を近付けられ、上目遣いにお願いされれば堕ちない男はいなかった。
が、
「ん――…今は遠慮しとく」
「「何っ!?」」
ミワの必殺技に堕ちなかったハルにバースコートとミワは心底驚いた。
(こいつ、ミワのお願いに堕ちないとはどんな神経してんだ!?そっちの気があんのか!?)
(ちょっとマジ!?私のお願いが効かないってアンタ男!?)
二人はそれぞれ同じようなことを考え、信じられないようなモノを見るようにハルを見た。
さらに追い討ちを掛けるような言葉がハルの口から出る。
「実は行かなきゃいけない所があって。
なぁ、マクベス商店って知ってる?」
「「マクベス!?」」
「お!知ってんの!?」
「知ってるも何もマクベスを知らなきゃ裏町じゃモグリだぜ!」
「え?有名人なの?」
「ああ、特に裏町や富豪の連中からはな。マクベスの顔を見た奴はいねぇ、素性も誰も知らねえ。だが、貧しい者には金や食料を与えるし、富豪のとこにはかなりの珍品を持っては大金をせしめるって話だ。富豪や貧しい者の依頼を聞くことがあるみたいで、マクベスは"独りギルド"とも称されている。
何回か捜索依頼があって、店に張り込んで粘ったが姿を見せなかったしな。誰も本当の所は分からん」
つまりはマクベスに会うには雲を掴むようなことらしい。
(こりゃ参ったな……)
ハルは困惑した。
.
最初のコメントを投稿しよう!