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肩を組み合い酒を掲げ笑い合う。
先の不穏な空気など露ほど残さず、飲めや食えやの大騒ぎ。
バースコートもカウンターの仕事を部下に投げ、ナックル達とテーブルを囲んでいる。
ミワは忙殺されまいと鼻の下を伸ばして近付いてくる男達を使い、テーブルに酒や料理を運んでいる。
ハルはカウンターを背に広い酒場の中を見渡し、楽しそうに騒ぐ男達を眺めている。
友情、というものはこういうものか?
仲間、というものはこういうものか?
目の前に広がる不思議な光景を見て、考える。
「楽しそうだけど入れる気がしない……というかマジで宿どうしよう」
ぼそりと呟く。
それを聞いていた男がいた。
「なぁ、あんた。オヤッサンの知り合いかい?」
カウンターの中から声を掛けてきたのはバースコートの部下だった。細身の長身な男で30代に差し掛かった所か、眠たげな目をした面長な顔をしている。
「さっきオヤッサンと親しげに話してただろ?今はオヤッサンもあんなんだし俺で良ければ話は聞くぜ?」
男はその体付きに似合わず繊細な手つきとスピードで次々と酒を注ぎつつハルを見ながら話し掛ける。
その見事な手捌きにハルは見とれつつ答える。
「知り合いって程なんかじゃないよ。さっき初めて会ったばっかりだし、それよりすげぇな!あんたのその技!」
もうハルは宿のことなど忘れ、あらゆる酒を注ぎ続ける男の技に夢中だ。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか?ならもっと色んな技を見せようか?」
言うや否や、酒瓶を体の後ろから回転させながら頭上に上げ、落ちるまでに空いた手で他の酒を注ぎ、上がった酒瓶をキャッチした勢いのままタンブラーに注ぐ。
鮮やかな手つきに弧を描き空を舞う様々な瓶、ハルは少年のような純粋な顔で見続けた。
あらかた酒場が落ち着いた時を見計らって男は改めてハルに話しかけた。
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