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「ふん、バースコート、ね。あの坊やも偉くなったもんだね、自分は道を教えるだけか。
まぁ、教えてやれることはあるけどね。その前にあたしの質問に答えてもらおう。
お前さん、マクベスとどういう関係だい?あの男には家族はいないはず、それにお前さんはこの街のもんじゃないね?この街のもんじゃない奴がマクベスの名を知ってるってのもあり得ない……
マクベスは"この街だけ"の名前……だからお前さんは何かしらあの男と関係がないとおかしいんだよ。
さぁ!答えな!お前さんはマクベスとどういう関係なんだい!?」
アンリエッタはハルがマクベスと何かの関係を持つ者と断定出来る論理を並べ、まるでハルが抱える重大な秘密を吐き出すように迫った。
その表情には先の笑みなどなく、親の敵を見つけた子のようでもある。
しかし、アンリエッタの爛々と光る瞳にハルは違和感を覚えた。
「……俺は、ヨミ山脈に住んでいたんだ。それで街に出る前に師匠に言われたんだ、フィッシャーマン公国にあるマクベス商店に行けって。俺は山から今まで降りたこと無かったし、マクベスって名前もその時初めて聞いたよ。だから何も関係なんて無いよ?」
ハルはありのままを答えた。
その言葉を聞いてアンリエッタは険しい表情をいぶかしむものに変えた。
「お前さん、ヨミ山脈って言ったのかい?あのヨミ山脈?とすれば、お前さんは……なるほどね、あの辺のものはそっちから仕入れたか……
ふん、お前さんは確かに直接知り合いじゃないみたいだね」
途中独り言を漏らして目線をあらぬ方に向けていたが、視線をハルに戻すと何か納得したようだった。
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