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「なんだかよく分からないけど、疑惑は晴れたんだね?そしたらマクベス商店のこと教えてくれよ!」
今ならアンリエッタも話してくれるだろうとハルはもう一度聞いた。
「ああ、いいともさ。お前さんは間接的にマクベスと仕事をしていたようだからね」
意味深な発言をするアンリエッタにハルは食いついた。
「え!?俺、マクベスなんて人ホントに知らねーぜ?第一、仕事とかしたことねーし!」
ハルの反応を楽しむように怪しい微笑みを浮かべたまま聞き入り、またその疑問に答える。
「……お前さん。ヨミ山脈にもう一人誰かと住んでいたろ?マクベスはね、時折あたしの元に色んなものを売りつけに来てたんだよ。マクベスは多くを語らなかったけどね、店を貸す前に一つだけ話をしたよ。
『フィッシャー街道の北東に連れがいて、珍しいものが手に入る』
ってね。どこの馬の骨とも分からない怪しい奴だったけど、その話の証拠にレメロンを持って来たよ。
まさかフジ樹海じゃなくてヨミ山脈とは思わなかったよ、ふふふふ」
先のアンリエッタの独り言はこの話の裏付けが現れたことであり、ハルもまたこのアンリエッタの話に雲州斎が街に出た先がマクベス商店だったことが分かり納得した。
「なるほどなー、ジイサンが街に出る時、色んなもんを風呂敷に包んで持ってったのはそういうことか!
だったら尚更マクベスに会ってみたいな!なぁ、アンリエッタさん、マクベスってどんな奴?会えるのかな?」
ハルは知らぬ間にお世話になっていたマクベスに興味を抱き、無垢な笑顔でアンリエッタに勢い込んで聞いた。
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