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あの人達があまりにも優しくて忘れていた。
本来、鬼と人間は一緒に暮らせないということを。
俺と姫が恋仲になることを、危険と感じた人間が居た。
そして、ある時大勢の人間が俺達の家にやってきて、火を放った
あいつらが言うには【鬼退治】らしかった。
人間に害をなす鬼、そしてその鬼をかくまう者は人間であれ鬼と同等であり危険だという事だった。
馬鹿馬鹿しく、恐ろしい言い分だった。
俺が何と言おうと、奴らと同族である筈の姫やその家族の言葉も受け入れられなかった
本来の、鬼としての俺ならばやって来た奴等を始末するのは簡単だった、簡単な筈だった…
その時の俺は、どんな相手であれ姫や優しい人達と同族である人間を傷付ける事が出来なくなっていた。
こうして、俺の目の前で姫や皆がまず殺され、悲しみと不甲斐なさで心が支配された後、俺は首をはねられ一生を終えた。
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