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「やぁ、君がさっき電話に出てくれた子かな?」
「はい、小田原です。」
「僕は南署の及川 成浩です。急に電話してすまなかったね。」
刑事はそう名乗った。
及川成浩…おいかわ なりひろ…
僕は心の中で「おいなり刑事」というおいしいあだ名を彼に授けた。
おいなり刑事は、僕の目線に気づいたようで遺体について説明してくれた。
「不思議だろ?ビート板に乗ってるなんて。あのままプールに浮いていたらしい。」
「はぁ…。」
プールの上に浮かんだ死体、事件素人の僕でも自殺ではなさそうだなと察知した。
「とりあえず彼が島崎君か確認してくれないか?」
おいなり刑事はそう言うと僕を死体の側へと連れて行った。
「間違いないです。島崎先輩です。」
久しぶりの再会ではあったがすぐに島崎先輩だと分かった。なにより目を引いたのは彼の首にくっきりとついたロープで絞められたような跡だった。
「やはりそうか…。じゃあこれからいくつか質問させてもらうよ。あなた方にも聞きたいことがあります。」
刑事はそう言うと2人の男性を呼んだ。
1人は、清原さんというこの高校の警備員をしている男性だ。40代後半といった見た目だ。
なかなか額の面積が広く、サイドに残った髪は濡れていた。
もう1人は、岡村さんという同じくこの高校の警備員の男性で年は20代半ばくらいに見える。
耳が隠れるくらいの髪は同じく濡れていた。
おそらくこの2人が島崎先輩をプールサイドまで上げたのだろう。
そんなことを考えていると、刑事からの質問が始まった。
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