プールでデビュー

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「じゃあ、まず小田原君!君は今日島崎君から電話があったみたいだがどういう内容だったのかな?」 僕は包み隠さず呼び出された理由、島崎という人間がどんな人なのかをみなさんに説明したように、おいなり刑事に伝えた。 「なるほど。8時から僕の電話に出るまで…10時くらいまでは何をしてたかな?」 「それってアリバイ調査ってやつですか?」 「まぁ、誰にでもすることだから気にせず答えてくれ。」 そう言うと刑事は笑顔を向ける。 「家でドラマ見てましたよ。家には家族がいました。」 家族の証言ではアリバイ証明にならないということを、聞いたことがある。 ドラマの内容を詳しく話そうかとも思ったが空気を読んでひかえた。 次に、清原さんに質問がされた。 「清原さんが、最初に島崎君を発見したんですよね?」 「はい。プールに何かが浮いてるのがみえたんです。最初は片付け忘れかなと思ったんですが、人が乗っているのに気づいたんです。」 「島崎君ですね?」 「はい。名前は今知りましたが、間違いなく彼です。何度か声をプールサイドからかけたのですが、返事がありませんでした。それに少し不自然だなと思い慌ててプールに入り彼に駆け寄りました。」 「不自然?何か気になることでもあったんですか?」 おいなり刑事から、質問がされる。 「彼、制服を着ていたんですよ。」 (ん?学生なら制服で放課後も行動するのは珍しくないんじゃないかな) と、疑問が浮かんだがすぐに清原さんによって解決された。 「プールに夜侵入する生徒はたまにいるんです。ただ制服を着たまま泳ぐ生徒なんて今までいなかったんです。大抵の生徒はパンツか、水着で泳いでました。」 (そうか!泳ぐために忍び込んでるから、水着くらい用意してるのか。それに制服で泳ぐくらいならパンツになって泳ぐなー。) そんなことを考えている中、清原さんの話が続く。 「こないだも泳いでる生徒がいましたよ。岡村君も一緒だったよね。」 「先週でしたかねー。その時は男子4人で水着姿で騒いでましたよ。僕たちが駆けつけると急いで逃げて行っちゃいましたよ。」 岡村さんは困ったやつらだ、といった顔で話した。
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