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「ところで、清原さんが彼を発見したのは9時ということで間違いないですか?」
「えぇ。私の巡回時間がいつもそれくらいなので。私が警察の方にお電話をしたのが、彼を岡村君とプールサイドに上げてからなので、携帯電話の履歴の時間から考えてもそれくらいだと思います。」
「なるほど。では、岡村さんあなたが、プールに来た経緯とその時の様子を教えていただけますか。」
今度は、岡村さんに質問が向けられる。
「僕はこのプールの隣にある体育倉庫の戸締まりを確認していました。その時にザバーンっ!という大きな音が聞こえたんです。いつものやつらかなと思ってプールに向かっ
たんですが…。」
「清原さんがプールに飛び込んだ音だったんですね。」
「そうだったみたいですね。僕はすぐにプールに向かいました。清原さんがプール中央で何かしてるのが見えたんです。それで僕も急いで清原さんに駆け寄ったんです。」
「その後、お2人でビート板ごと島崎君をプールサイドに上げたんですね。」
「はい。ビート板のままの方が移動が楽だったので。」
清原さんが答える。
「移動させた後は何かしましたか?」
「私が、警察に連絡をして5分くらい経ってから刑事さんがお見えになりました。」
「清原さんが電話をしてくれたんですね。」
「はい。岡村君の携帯電話は水没してしまったんです。」
「プールに飛び込んだ時にポケットに入れっぱなしだったんです。」
岡村さんが、水没した携帯電話を刑事に見せた。
それを手にとり、おいなり刑事は疑問を口にした。
「清原さんの携帯電話は大丈夫だったんですか?」
「プールに飛び込む前にプールサイドに携帯電話を置いてから入ったんです。なので、私のは無事だったんです。」
(こんな状況で落ち着いてるおじさんだな…)
「おかげで我々もすぐに現場に向かうことができました。冷静な判断ありがとうございます。」
刑事からのお礼に清原さんは、照れくさそうにしていた。
一方で、携帯電話を水没させてしまった岡村さんは少し拗ねているように見えたので僕は
「普通ケータイ出さなきゃなんて気づきませんよ。」
と助け舟を出した。
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