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古都にある由緒正しい神社
参道を歩く4人組の女子は。
「ネエネエ、ここってさァ、世界遺産になっているんだったよねぇ?」
クルクル巻き毛のお嬢様風の女の子。
「え?あれ?雑誌は?」
ショートカットの女の子、男物のダボダボのトレーナーを着ている。
「あれぇ?確かバックに……」
ふわふわの髪、天然のトロそうな女の子。
「正しくは、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)玉依姫命(タマヨリヒメ)が祀られている、賀茂建角身命は、日本国最初の天皇、神武天皇が、山中で道に迷って居た時、八タガラスニ姿ヲカエミチビキ、金色ノトビニ姿ヲカエ、弓ノサキニトマリシ時、ワルモノドモハソノ光ヲオソレ、皆ニゲテイッタ……
その時から、神武天皇は日本国治める。」
3人は驚いて、固まった。
ストレートの黒髪の女の子、虚空に眼差しを向ける。
「玉依姫命は、神霊の…依り代……となる女、すなわち…み…巫女?!」
コメカミを押さえて、動揺していた。
脳裏を過ぎる記憶。
「奴は、幼き子どもを捕らえるつもりか!」
唸り声が響いた。
「大丈夫?凄くない?物知りダヨネ!」
ショートカットの女の子。
「え?……ァ、ああ、授業で習わなかった?」
「全然!」
3人同時の答え。
「ァ、じゃあ、テレビかな?」
苦笑いでごまかした。
「……………」
3人とも呆気にとられた。
「……そういえば、ここって、縁結びのパワースポット、七不思議の御神木があるよ。」
行き先を指差した。
「縁結び!」
「行こー行こー!」
3人同時の返事。走り出した。
ため息を付き、震える手のひらを見つめた。
同じ街
マンションの前。
「父上がこちらに来ているなて、珍しいな。」
白髪の紳士が、車のドアを開ける。
「若が、こちらの大学に入られました時から、とても寂しい思いをなされておられましたが、お忙しい御方ですから。」
軽く頭を下げる。
「ふん!」
口元の端を少し上げて微笑んだ。
「!蒼き焔……」
緊張が走る。
「どこだ!……北の方か!」
確実な方向を感じる。
「爺!車を北の方へ!」
「若?旦那様が──」
「心配ない!電話する!早くしろ!」
走り出した黒塗りの車─────
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