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確か、食べかけのシリアルがいっぱい残ってたような……。
てか、シリアルってご飯の代わりに食うもんじゃなかったっけ。
……まぁいいか。
戸棚からシリアルを取り出す。
「ほれ」
シリアルを皿に出し、牛乳をかけてナツミの前に出すと、ナツミは驚いたように目をしばたいた。
「これ何ー?」
「何ってシリアルだよ。知らんのか?」
ナツミは小さく頷いた。
思わず時代差を感じ、少し寂しくなった。
「まぁ、おいしいから食べてみ」
不思議そうにシリアルを見つめるナツミに、スプーンを渡す。
「牛乳も一緒に食べていいの?」
僕が頷くと、ナツミは恐る恐るスプーンを口に運んだ。
「……おいしいっ!」
「だろ?」
よほどお腹が空いていたのか、ナツミは一気に一皿平らげてしまった。
「おかわりっ」
「だっ、夕飯入らなくなるぞ」
「あ、そうだね……」
意外に物分かりがいいな、小学生。やっぱ、母親にあまり頼れない分、しっかりしてるのか……。
シリアルを食べた後、ナツミは再び宿題を始めた。
僕の方は、久々の来客にあまり心が落ち着かず、所在なく携帯をいじったり、ベランダにタバコを吸いに行ったりしていた。
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