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「いってきます!」
勢いよく開けたドアは、僕の胸の高まりを示すようにドンッと大きな音を立て壁にぶつかり、静かに閉まった。
事務所を出てすぐに、郷美が立ち止まる。
急に視界から消えた郷美が僕のワクワクを消し去ってしまった。
「なぁ、飯食わね?」
腹減ったーとうるさい郷美を連れて、近くのファミレスに入る。
窓際の一番奥の席に通される。
「ここな、あたしの特等席」
ニシシと歯を見せ笑うこの人はきっと少年の心を持ち合わせた男性なのだろう。
そんなことを考えている僕を余所に、郷美はメニューを開き次々に注文をしていく。
「お前は何すんの?」
「じゃあ、ホットコーヒーで」
「んだよ。そんなんだから体が細っちいんだよ。もっと太れ!」
この人は横暴だ。
外調査に出てすぐに疲れるとは思いもしなかった。
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