神様のお茶会

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「…………俺を呼んだよな?」  少しの沈黙の後そう問うルシフェルだが、髪に紛れて表情が見えない。怒っているのやら笑っているのやら。  というか、ルシフェルとは実は初対面なのである。ちょっと対応に困るが、まぁそういうのは気にしないことにしよう。  ルシフェルは俺の下僕、それにはまったく変わりないのだし。 「呼んだ」 「そうか」 「…………」 「…………」  全裸で金髪の少年(俺)と布一枚を纏っただけの黒髪の青年(ルシフェル)が真っすぐ向かい合い、互いを見つめて沈黙するという、何とも言えない図がそこにはあった。  画的にアウト。  服を探そう。うん。多分前魔王の衣服はそのまま残ってるはずだし。 「……ついてこい」  ルシフェルにそう言い、俺はその部屋の出口へと歩きだす。ルシフェルは返事こそしなかったものの、ちゃんと後ろをついてきた。よかったよかった。  その部屋を出ると案の定というか何と言うか、無駄に幅の広い廊下に出た。ちょっと古びてはいるが、飾ってある調度品は高そうなものばかり。何と言うか、本当に魔王の城だった。  俺は何度かの前世で魔王の城なる場所に行ったことがあるが、ここは本当にその典型みたいな感じだった。むしろ来たことがある気さえする。  魔王の自室は……、とりあえず一番高い場所にあるに違いない。そんな勝手なイメージで、ルシフェルを引き連れ俺は廊下を突き進む。 「なぁ」  途中、予想外にもルシフェルが話しかけてきた。俺はちょっと意外に思いながら、普通に返事をする。 「ん、何だ?」  ルシフェルは俺の真後ろを歩いているので、どんな様子なのかわからない。まぁ、振り返ったところで髪が邪魔でみえないんだがな。 「正直言って、俺は状況が掴めてない。堕天になるはずだったのに、突然釈放された。釈放されたと思ったら、俺はお前に喚ばれて気づいたらこの世界にいたし。さらにお前の言葉には逆らえる気がしない――どういうことだ?」  面倒なことになった、と俺はルシフェルの言葉を解釈する。神め、説明もせずにルシフェルを放り出したのか。
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