王立ギルド『開け胡麻』

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「具体的に言えば、俺が三十一回目の転生で経験した世界と、この世界で使っている魔法魔術がまったく同じなんだ。俺はあの時魔術師だったから、この魔法魔術についてはプロフェッショナルだ。間違いない」 「魔法魔術がまったく同じ? それは変だな」  元天使も、この異変に気がついたようだった。   、、、、、、、、、、 「同じ世界は存在しない。そうなるべく、神は世界を創造してる」  ルシフェルはそう言って、少し考える仕種を見せた。 「でも、それは今回の転生で三十一回目と同じ世界に転生したってだけじゃないのか? それなら何の問題もなく説明つくだろ?」 「あぁ」  俺は頷く。 「だから、確かめに行こうと思うんだ」   ◆ ◆ ◆  向かったのは、あの魔王の死体が転がっている玉座の間。  その道中、俺はルシフェルにこんな話をしていた。 「三十一回目の転生で、俺は魔王を倒すべく旅していた勇者のパーティにいた」 「パーティ?」 「あ、いや――勇者と一緒に旅してたってことだ」  ルシフェルに聞き返され、俺はそう説明し直す。パーティって言葉、RPGゲームとかでしか使わねぇよな。登山隊でもあるまいし……。  堕天使が知るわけないか、そう判断したのだが。 「あぁ、パーティな。なかなか聞かない言葉だったもんで……。ゲームなんて最近してないし、真面目に天使とかやってっと忘れてくんだよな、そういう言葉」  しれっと言うルシフェルが、男子高校生とカブった。 「……お前、本当に天使か?」 「よく言われるよ」 「言われるな」 「んで、勇者のパーティにいた御主人様が何だって?」  ルシフェルが話を軌道修正し、俺にそう聞いてくる。  天使が集まって協力プレイをしている図を想像していた俺は、あぁそうだったそんな話だったと思い出した。  いかん、この妄想癖治さないと。最近の人生が暇だったもんで、たまに自分の世界に旅立っちまう。 「あぁ、それで俺達勇者の一行は、最終的に魔王を倒したんだ。セオリー通りにな」  たった今たどり着いた玉座の間で、俺は未だに変わらず転がっている死体を蹴り、それを仰向けになるよう脚で調節する。 「その時、俺達は魔王をその城に閉じ込め、封印したんだ」  やっと俺の眼下に晒された父親の顔は、多少やつれた様子はあるものの――俺達が昔倒した魔王と瓜ふたつだった。
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